開発ストーリー04ブランディング篇

大川精螺工業株式会社 取締役 大川 直樹
株式会社セイタロウデザイン 代表取締役 山崎 晴太郎

大川精螺工業が発信する製造業の新しいカタチ

山崎: 「御社の太陽光発電事業は、業界的にも特殊な進め方をしていると思うんですね。 いわゆるブランドを重要視する、ブランド主義というやり方。 そもそも大川さんは、なぜブランドから入っていこうと思ったんですか?」

大川: 「私たちは今までずっとものづくりをやり続けてきましたが、 基本的にはお客さんのオーダーに応じて、いかに緻密に正確に、 大量生産していくかということに取り組んできました。 そうすると、製品の技術力で差別化はできるものの、 それ以上の差別化がどうしても価格勝負になってしまいます。 だからこそ、“大川が作るものだったら良いよね”とか、 “大川が作るものを買いたい”というような流れを会社として作っていきたいな、と。 それが、製造業の新しいカタチなんじゃないかなと思っています。」

山崎: 「よくわかります。」

大川: 「今回のトラストワンに関していえば、今まで世の中になかった新しい商品ですよね? 使い方やそれにまつわる生活というところまでを変えて、世の中に貢献することで、 大手企業が出している商品とは異なったポジションを作りたいなと思っています。 その方法として、ブランディングがあり、使い方や生活の提案をしていきたいなという考え方ですね。」

山崎: 「何かベンチマークにしているブランディングはありますか?」

大川: 「そうですね、ジャンルは全然違いますが、男前豆腐とか。 やっぱり生活者の人が手に取りやすかったり、触れたくなるっていうのは、 モノ自体の力に加えて、人の心を動かすことが重要だと思います。 トラストワンは、“街にあって嬉しい”とか“安心する”とか、そういう気持ちを起こしたいなと。」

モノのよさの実感を届けたい

山崎: 「一緒にプロジェクトをやっていて、僕自身もそうなんですが、 大川さんも“体感”を重要視されているイメージがあります。 ライフスタイル型というか。利用シーンやストーリーについてもそうですね。」

大川: 「ものづくりの立場からすると、モノってどうしてもプロダクトアウトになりがちだと思うんです。 でも実際は、“誰かの生活や人生がそれによってどう変わるか?”ということの方が大事じゃないですか。 だからこそ、“このモノがあるとこんな生活になるんじゃないか?” というところから発想していこうと考えています。 逆を言うと、今までの弊社のものづくりでは、 そういうことがあまり出来ていなかったんですね。 それは、作っているものが自動車の部品ということもあるけれど、 最終的な体感としては、“あ、ブレーキ効くな”みたいな話なので、効いて当たり前なんです。 本当に縁の下の力持ちだったんですね。 だから、これからのものづくりでは、さらなる付加価値を考えるために、 利用シーンやストーリーを考える視点が必要だなと思います。」

山崎: 「今、ものづくりの付加価値についてのお話をされていましたが、 逆に、ものづくりを引いていくと最後に残るコアは何だと思いますか? 例えばものづくりって、色んな工程であったりとか、コストであったりとか、 多くの要素が含まれているじゃないですか。 それを削って、削って、削って、削って残った、最後のものづくりのコアとは?」

大川: 「それはやっぱり、“驚かせたい”とか、“世の中にないもの作りたい”とか、 そういう純粋な気持ちですかね。 例えば工作もそうですけど、小学校の時に他の人が作らないようなものを作って、 “おお”って言われる時の単純にモノを作ることの愉しさ。 寝る間も惜しんでやるような愉しさってあるじゃないですか? 山崎さんはまさにいつもそういうお仕事をされていると思うんですけど、 その愉しさがやはりものづくりの一番のコアじゃないですか。」

山崎: 「そのコアを広げたことが、トラストワンの誕生に繋がったと思うんですが、 ブランドとして、どういう立ち位置を目指していきたいか具体的なイメージはありますか? 例えば、日本全国、世界も含めて、“ソーラー街灯といったらトラストワン”みたいな、 ナンバーワン且つオンリーワンみたいな立ち位置なのか、 それとも、今までの縁の下の力持ちという役どころを活かして、 本当に大事なと人たちにそっと手を添えるようなブランドなのか?」

大川: 「それでいうと、後者の方が近いかなと思っています。 やはりどこまで行っても製造業というのは表には出づらいんですね。 完成品を作って、世の中に出していきたいという思いもありながらも、 我々の根底にあるのは、部品を作るというところです。 intel insideみたいなポジションが理想かな。」

山崎: 「intelのブランディングはわかりやすいですね。 中身が変わって色々変わる。」

大川: 「“あ、これもトラストワンだったの?”とか、“これも大川精螺だったの?”とか、 “これもMILIGHT PROJECTの一環だったんだね”ということが、 1人の体験の中で沢山生まれてくればいいなと思います。 別に、全世界の人がそうでなくてもいいんです。 勿論それは理想ですけど、それよりも一人一人が、ある地域で ちゃんとものの良さを実感してくれることの方が大事ですね。」

山崎: 「すごくよくわかる気がします。」

(第5話へつづく)

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